2013年大会の感想

今回の感想は、事前に駅伝SLGで行ったシミュレーションとの照らし合わせはなしです。普通に感想を書きます。

 

 

まさか、また風が吹くとは・・・。

1997年大会や2001年大会の風は有名ですが、ここ最近は比較的大人しかった自然の猛威がついに牙をむきました。

2区のベンジャミン選手やオムワンバ選手のごぼう抜き。3区の設楽悠太選手、大迫選手の区間3位以下を大きく離す速さ。そして5区で大逆転を演じた服部選手。彼らの区間タイムの価値がどれくらいなのか、向かい風のせいでわかりません。

おそらくですが、2区、3区、5区の3区間とも2分〜2分30秒くらいを向かい風の影響として差し引くと、なんとなく納得できるタイムになるのですが。

5区の日体大・服部選手。トラックの持ちタイムでは服部選手よりも上の選手もいる中で、区間2位以下を圧倒的に突き放す強さ。向かい風がなければ、過去に3人しか達成していない1時間19分切りは確実だっただろうと感じさせる強さでした。向かい風の影響を2分30秒とすれば、1時間18分前後の記録にすら届いていたでしょう。

しかし、往路の選手達が良い走りをすればするほど、向かい風のせいでタイムの価値がわからず、本当に歯がゆいです。

1997年大会でしたら往路は向かい風、復路は追い風と、かなりはっきりしていましたが、今大会は風の方向もさだまらず復路でも追い風と向かい風が混ざっていました。

 

 

風の話以外で、1区の東洋大・田口選手の走りが印象的でした。

いかにもスローペースにハマりそうな時に、自らペースを上げてハイペースに持ち込み、トップを引き続けて区間賞を獲得ですから、貫禄すら感じる走りっぷりでした。

田口選手はこれで今シーズンは全日本大学駅伝と箱根駅伝で連続1区区間賞でした。これは93年〜94年シーズンの早大・渡辺康幸さん以来19年ぶりです。

 

 

2区区間賞の日大・ベンジャミン選手。走力はオムワンバ選手の方が上かと思っていたのですが、見事な区間賞でした。

中継所手前ギリギリでトップを捕らえて抜き去るというのは、箱根の華の2区の歴史においても屈指の「熱い場面」だと思いました。

 

2区2位のオムワンバ選手は、1時間06分49秒なんてタイムを戦前に予想していたのですが、向かい風がなくても1時間06分台には届かなかったと思います。

しかし、1年生選手の最速記録である1時間07分29秒(2006年のモグス選手)にはもしかしたら届いていたかも知れません。

 

青山学院大の出岐選手。2区への出場は確実かと思っていたのですが、予想外に出場したのは10区。その走りも精彩を欠いたものでした。

出岐選手の最後の箱根はやはり2区を走る姿が見たかったと、今年は2区のコースで観戦していたので、特にそう思ってしまいました。

 

 

6区では12人が1時間切りを達成するという大盛況ぶりでした。ラスト3キロの平地部分でやや追い風気味に見えましたが、それだけでタイムが30秒も1分も良くなるわけではありませんので、今大会の6区は本当にハイレベルだったのでしょう。

その6区でついにやってくれたのが区間賞を取った駒沢大の千葉健太選手。前半を抑え目に入り、後半になってペースを上げてくる独特のペース配分で58分15秒の爆走を見せました。

これで「現行コースの4年間」で初の4年連続の1時間切りを達成しました。

千葉選手の4年合計タイムは3時間55分49秒、4年平均タイムは59分切りにまで到達する58分57秒25。

大東大の金子選手(4年合計タイム3時間57分10秒、4年平均タイム59分17秒50)、

中大の野村選手(4年合計タイム3時間57分13秒、4年平均タイム59分18秒25)といった過去の名選手の記録を大きく上回りました。

4年平均タイムで58分台というのはあまりにも凄すぎて、今後この記録が更新されるのは結構先の時代になるかも知れません。

まさに箱根の山から、山(下り)の神ここに降臨!といった感じの走りでした。

 

東洋大の市川選手も59分16秒という好タイムで走りきり、4年合計タイムは3時間59分25秒、4年平均タイムは59分51秒25と、4年平均の1時間切りを達成しました。

4年平均1時間切りは旧コースを含めても、金子選手と野村選手、それに千葉健太選手だけです。市川選手はまぎれもなく山下りの名ランナーでした。

しかし同期の千葉健太選手と比較すると、1年生の時に1分11秒の差をつけられ、今回の4年生では1分1秒差で負けていて、ほとんど差は変わっていませんでした。

山下りの神・千葉選手が同い年だった、というのは不運だったものの、チーム順位では2度の優勝を含めて、4度の大会すべてで千葉健太選手の所属する駒澤大学に勝ち続け、4大会すべてで千葉健太選手の遥か前方を走り続けていたわけで、市川選手には不運の名選手というのもなにか似合わない気がします。

チーム競技なのに走っている時は個人競技という、駅伝の不思議な面白さを感じるポイントだと思いました。

 

明治大の廣瀬選手はノーマークでしたが、58分19秒の記録には驚かされました。6区の名ランナーである金子選手や野村選手のベスト記録を上回ってくるとは。

一躍6区最強ランナー候補となった廣瀬選手には、来年は是非とも57分台を期待したいです。

 

 

総合順位では、日体大は元々上位を狙える実力があったので、ライバルが崩れれば2位はありえるとは思いましたが、まさか駒沢大、東洋大の2強が両方崩れて、優勝まで行くとは思いませんでした。

駒沢大はちょっと前までは「速さより強さ」のチームでしたが、最近は逆になってきていますね。

昨年、「史上最強の強さ」を見せつけた東洋大が、たった1年でここまで崩れるとは思いませんでした。総合2位を確保したとはいえ、去年の強さがあまりにも印象的だったので。

他には法政大がシードを取ったのにはびっくりしました。データを遥かに超える強さを見せてくれました。

シードが狙えた中大、城西大の途中棄権は残念でした。特に中大は氷川優気が駅伝にはまるきっかけのチームだったので、棄権という形で連続シード記録が途絶えたのは、残念を通り越してショックでした。

 

 

最重要区間について

箱根駅伝の最重要区間といえば、なんといっても華の2区、と思っていたのですが、今大会の日体大・服部選手の5区の走りと、その後の復路のレース展開を見ると、もはや5区こそが最重要区間と言わざるえないですね。

しかし、やはり5区はエースが走る区間とも少し違う気がする。服部選手以外にも今大会の5区にはハイレベルな走力を持った選手はいましたが、爆走したのは服部選手だけでした。

これからの箱根駅伝はエース区間と最重要区間が別々にあるという状態になるんでしょうか。

 

 

1区、10区のトンネル

今大会蒲田の踏み切りの撤去が話題に上がっていましたが、踏み切りから鶴見よりにちょっと進んだところにトンネルが新設されました。

国道15号が環状8号の下を潜って通る形で出来たトンネルですが、選手達はトンネルを通らず、今まで通りに環状8号を横切っていました。

トンネルは結構深く掘られていて、目測で5メートルくらいの深さはありそうで、アップダウンが一つ加われば選手のペース配分にも僅かながら影響するのではないかと心配だったので、今まで通りのコースを通ったのは駅伝ファンとしてはとても嬉しいです。

ですが、交通量の多い環状8号をストップさせてまで、目の前にあるトンネルを通らないという事を、今後も続けていけるのか、それがちょっと疑問です。

もし今後1区、10区がトンネルを通るルートになった場合、僅かながらも走る距離の変更もあるかもしれませんので、佐藤悠基選手の残した1区の記録や、10区でずっと単独走で1時間08分台を出した松瀬選手の記録が消えてしまうのではないかと心配です。

逆にトンネルを通るルートになっても現在の区間記録が消えなかった場合、佐藤選手や松瀬選手と同タイムや僅差の記録が出た場合、どちらの記録の価値が上か、とまた難しい問題になってしまいそうです。

なんとかこれからも環状8号を横切るルートで続けて欲しいと思います。

 

 

ジョジョ立ち見逃す

シード争いが気になり、順大・堀選手のゴール後のジョジョのポーズ、見逃しました・・・。





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