2016年大会 2区について
2区の2個目の区間賞
今大会では偉業と言える2区の2個目の区間賞獲得に挑む資格を持つ選手が2人もいます。
前回3年生で区間賞を獲得した東洋大・服部選手、そして前々回2年生で獲得した早大・高田選手です。
1983年から33大会の歴史を持つ2区の現行コース。
その歴史の中で区間賞を取った選手は外国人留学生を含めて27人。日本人では20人います。
その20人の日本人選手の中で、2区の区間賞を2個獲得した選手は何人いたかと言うと、83年大会区間賞、現行コースになる前の82年大会でも区間賞を取った日体大・大塚選手、そして95年大会と96年大会で獲得した早大・渡辺選手の2人だけです。
現行コースに限定すれば、渡辺選手が唯一の達成者になります。
つまり2区の区間賞を1個取るのと2個取るのでは、難度が10倍も20倍も違ってきます。
83年以降、20人の日本人が合計21個の区間賞を獲得していますが、獲得時の学年別の数は、
4年生が12、
3年生が5、
2年生が4、
1年生が0
となっています。
4年生が圧倒的に多く、3年生以下での獲得は難しい事がわかります。
区間賞を2個獲得する為には、当然3年生以下でも最低1個は獲得しなければならない為、ここがネックになっています。
2区の区間賞獲得経験者同士の、2区での対決は貴重です。
現行コースの歴史では留学生を含めても、94年の山梨学大・マヤカ選手VS順大・本川選手、96年の山梨学大・マヤカ選手VS早大・渡辺選手しかありません。
日本人同士で実現すれば初の対決になります。
3年前のシーズンには、青学大・出岐選手と東海大・村澤選手という2人の2区の区間賞獲得経験者がいましたが、出岐選手は2区に出場せず、東海大は予選落ちした為、直接対決どころか、2人とも2区を走る事すらありませんでした。
山梨学大・ニャイロ選手の存在を考えると、現実的には服部選手も高田選手も2個目の区間賞獲得は難しいかも知れませんが、この2人が一騎打ちでトップ争いをし、勝った方が区間賞を獲得するなんていう熱いレース展開を期待したいです。
1年生最高記録
2区に出場するならば、と条件付きですが、今大会は2人の1年生が2区の記録を書き換えるかも知れません。
1人は全日本8区で1年生最高記録を出した山梨学大のニャイロ選手です。
全日本8区1年生歴代5傑
D・ニャイロ 56分55秒 山梨学大 2015年
M・モグス 57分10秒 山梨学大 2005年
S・マヤカ 57分48秒 山梨学大 1992年
O・コスマス 58分33秒 山梨学大 2008年
K・キプゲノン 58分39秒 第一工大 2008年
もう1人は全日本2区で1年生歴代5位(日本人歴代3位)の記録を出した順大の塩尻選手です。
全日本2区1年生歴代5傑
E・オムワンバ 37分16秒 山梨学大 2012年
柏原竜二 37分44秒 東洋大 2008年
G・ダニエル 37分48秒 日大 2006年
大迫傑 37分55秒 早大 2010年
塩尻和也 38分05秒 順大 2015年
ニャイロ選手はすでに今大会の平地区間では最強の選手だと思います。
過去の全日本8区と箱根2区の平均タイム比率1.167(詳しくはこちらをどうぞ)を当てはめれば、箱根2区の予想タイムは66分25秒になります。
流石にこのタイムはちょっと厳しいかと思いますが、66分台はともかく、箱根2区の1年生最高記録67分29秒を更新する可能性はかなり高いでしょう。
塩尻選手は全日本2区で1年生歴代5位の38分05秒をマーク。
全日本2区箱根2区の平均タイム比率である1.793(詳しくはこちらをどうぞ)をかければ68分17秒になり、日本人1年生最高記録68分04秒も狙えそうです。
この全日本2区の38分05秒というタイムは、97年〜98年シーズンに活躍した早大のエース梅木選手が、当時の全日本2区で出した区間記録と同じです。
梅木選手は箱根2区でも区間賞を取り、そのタイムは67分48秒でした。塩尻選手には、切れそうで切れない日本人1年生初の68分切りを期待したいです。
塩尻選手は箱根予選会を走った2週間後に全日本を走っており、実際の実力は38分05秒よりももっと上かも知れません。
箱根2区1年生歴代10傑(69分切り)
M・モグス 67分29秒 山梨学大 2006年
伊達秀晃 68分04秒 東海大 2005年
J・マイナ 68分04秒 拓大 2011年
村澤明伸 68分08秒 東海大 2010年
設楽啓太 68分09秒 東洋大 2011年
J・オツオリ 68分23秒 山梨学大 1989年
S・マヤカ68分26秒 山梨学大 1993年
川端千都 68分32秒 東海大 2015年
O・モカンバ 68分35秒 山梨学大 2002年
渡辺康幸 68分48秒 早大 1993年
どの辺りにランクインしてくれるか楽しみな両選手ですが、山梨学大はニャイロ選手ではなく4年生のオムワンバ選手が出る可能性もあり、また塩尻選手も出場はしても2区以外になる可能性もあります。
駅伝SLGで予想
駅伝SLGで服部選手、高田選手 、ニャイロ選手、塩尻選手のデータ入力をして予想してみました。
駅伝SLGは1万mのベストタイムを元に区間タイムを予想するソフトですが、私独自の考え方に基づき、
20kmやハーフマラソンのベストタイム、
前シーズンの箱根駅伝の区間タイム、
今シーズンの全日本大学駅伝の区間タイム、
以上3つのデータから選手の事実上の走力を予想し、実際の1万mのベストタイムより良かった時にはそちらを使ってシミュレーションを行いました。
5回の平均値を1戦と数え、9戦行い、 5番目のタイムを予想タイムとして採用しました。
服部 67分23秒
高田 67分57秒
ニャイロ 66分12秒
塩尻 68分08秒
塩尻選手のタイムは1年生最高記録に後4秒です。現実の大会が楽しみです。
ニャイロ選手のタイムは凄まじ過ぎてちょっと現実味がないですね。
このHPで駅伝SLGを使った予想を発表し始めてから今大会で6大会目、HPがなかった頃も含めれば9大会目になります。
毎年同じやり方でデータ入力をしていますが、そのやり方の欠点も見えてきました。
それは全日本8区で快走した選手が過大評価される傾向にある事です。
ニャイロ選手のタイムも、少し(30秒くらい?)プラスして考えるべきだと思います。
しかし、変えてしまうとシーズン別の比較が出来なくなってしまうので、今後もやり方は変えないつもりです。
統計について
前回の箱根が終わった後、統計学で箱根2区の区間タイム予想をしたいと思いましたが、まだ勉強に手をつけていません。
導入するのは来シーズンか、もう少し後になりそうです。
それまでは、箱根2区と全日本2区or8区の平均タイムの比率という、今まで通りのイマイチ信憑性の低い予想方法になってしまいます。
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