全日本大学駅伝の区間距離変更について
・ 新しい区間距離
全日本は今年2018年大会から区間距離が大幅に変更されます。
1区9.5km (14.6km)
2区11.1km (13.2km)
3区11.9km (9.5km)
4区11.8km (14.0km)
5区12.4km (11.6km)
6区12.8km (12.3km)
7区17.6km (11.9km)
8区19.7km (19.7km)
()内は前回までの距離
5km14分、10km29分、20km60分を同価値として計算すると、これらとほぼ同じ価値になる区間タイムは以下のようになります。(小数点第一位四捨五入)
1区 約27分29秒
2区 約32分21秒
3区 約34分49秒
4区 約34分30秒
5区 約36分21秒
6区 約37分35秒
7区 約52分28秒
8区 約59分03秒
コースのアップダウンは考慮していません。
実際のレースでは、気象条件とレース展開の影響も受けます。
エース級の選手が距離の長い7区や8区に登場するのか、距離が短くても1区〜4区辺りに集中するのか、まだわかりませんが、強豪が集まる区間では上記のタイムから30秒〜40秒くらいは速いタイムを期待したいです。
・ 距離変更について思うこと・・・
箱根駅伝がコースも距離表示もコロコロ変わるのに対して、全日本は四半世紀に渡ってコース変更も再計測も全くなく、これは箱根に勝る大きなポイントだと思っていたので、変わってしまうのは残念です。
新しい区間距離は、3区が4区よりも少し長いのを除いて後半になるほど距離が伸びる設定になっており、どうも違和感を感じます。
今年の箱根で往路優勝を達成した東洋大は、強力な選手を1区〜4区に投入し、コース難度の高いエース区間の2区や準エース区間の4区で見事な快走を見せました。
しかしこの2区4区の快走は1区3区を走った選手の流れがもたらした物と感じました。
コース難度は低くても1区3区にも強力な選手を使って、とにかく先手を取る、意地でも後手には回らない、そんな執念のような物を今年の往路優勝校からは感じました。
駅伝はとにかく前半が大事とはずっと以前から言われている事ですが、2010年代になってから更にその傾向が強まっている気がします。
今大会からの全日本の区間距離変更は、明らかに時代の流れに逆行しています。
今回の距離変更でもっとも目立つのは7区の大幅な延長でしょう。
前回までの全日本はアンカー8区のみが距離がずば抜けて長い設定だったので、駅伝は序盤の流れが大事とは言え、8区までエース級を残す作戦を取るチームも多くありました。
その結果、全日本では最終区間である8区での逆転優勝が、近年だけでも何度もありました。
箱根駅伝ではアンカーでの逆転優勝は、往路のアンカーである5区でこそ多いですが、全体の最終区間である10区ではそうそうはありません。
7区が8区に匹敵するほど長くなると、終盤まで有力選手を温存するチームでも、8区で勝負をかけるよりは、ライバルよりも先に仕掛けるために7区にエース級を投入してリードを奪い、8区は堅実に走って逃げ切る作戦を取るチームが多くなる気がします。
全日本の華とも言えるアンカーでの逆転優勝が減ってしまうとしたら、盛り上がりに欠けるのではないかと思います。
個人的にも95年大会の逆転優勝がきっかけで駅伝ファンになった身なので、アンカーでの逆転劇が少なくなると寂しいものがあります。
今回の距離変更で箱根との違いが大きくなったのも気になります。
前回までの全日本の1区〜4区と、箱根の1区〜4区は、
1区 重要だが勝負をかけづらい区間
2区 全日本はコース難度は高くないが一応エース区間、箱根は文句なしのエース区間
3区 全日本は距離が短く、箱根は下りが多くて走りやすい区間
4区 準エース区間
共通している点が多く、全日本1区〜4区は仮想箱根駅伝として、箱根を予想するのに重要なデータでした。
全日本はちょっと箱根っぽい所が良い、箱根を予想するのに役に立つから、というのは、私以外の方も含めた駅伝ファンの本音じゃないでしょうか。
全日本は全国大会、箱根は地区大会ですが、知名度、駅伝ファンの期待、参加チームの意気込み、どれを取っても圧倒的に箱根の方が上ですから。
全日本の箱根っぽさがなくなってしまうと、大会の魅力が減ってしまうのが現実だと思います。
参加チームにとっても、箱根との両方の大会に出るチームは、全日本を箱根のリハーサルとして使い辛くなりそうです。
どうも今大会からの距離変更にはデメリットばかりを感じます。
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