2019年大会 5区、6区について



・5区 法大・青木選手


前回5区初挑戦でいきなり区間賞を獲得した青木選手。

陸上雑誌によると、今大会の目標タイムは70分ジャストを掲げているそうです。

前回の71分44秒から1分44秒も上の記録です。

前回の快走後、私は青木選手にはスーパーエースレベルの5区70分台や、山の神レベルの69分台を今後は期待したいと、このHPに書きましたが、現実的に見て平地での走力を大きく伸ばさない限りは71分を僅かに切るタイム辺りが目標値として限界かと思いました。

70分ジャストというレベルのタイムを設定し、陸上雑誌に語ってしまうあたり、実に男らしい選手だと思います。

東洋大・柏原選手以来の男っぷりと感じます。


現在の5区は「17年〜コース」ですが、現在よりも序盤に約20m短い「00年〜05年コース」、現在よりも序盤に約20m、終盤に4mで合計約24m短い「84年〜99年コース」を含めても、71分を切った例は2例しかありません。

その2例のペースです。



今井(順大) 2005年

大平台 22分31秒 (約20m短いので3秒を補正)

小涌園 39分17秒 (約20m短いので3秒を補正)

芦ノ湯 53分43秒 (約20m短いので3秒を補正)

芦ノ湖ゴール 69分15秒 (約20m短いので3秒を補正)



小林(早大) 1996年

大平台 22分43秒 (約20m短いので3秒を補正)

小涌園 40分12秒 (約20m短いので3秒を補正)

芦ノ湖ゴール 70分31秒 (約24m短いので4秒を補正)



大平台は7.0km地点、小涌園は11.7km地点、芦之湯は15.8km地点にあります。

5区全体の距離を最新の計測距離である20.8kmとして、今井選手(70分ジャストから45秒早い)を基準に各地点の「70分ジャストペース」は、

大平台 約22分46秒 

小涌園 約39分42秒

芦ノ湯 約54分13秒

芦ノ湖ゴール 70分00秒


小林選手(70分ジャストから31秒遅い)を基準にした70分ジャストペースは、

大平台 約22分32秒 

小涌園 約39分54秒

芦ノ湖ゴール 70分00秒

となります。(小数は切り捨て)


選手によってコースのどの部分に力を入れるかは違いますが、大平台を22分40秒前後、小涌園を39分40秒〜50秒くらいが一つの目安にはなりそうです。

前回の青木選手は大平台が23分03秒、小涌園が40分32秒でした。

大平台〜小涌園の間の踏ん張りが大事になるかも知れません。



・5区 城西大・服部選手

前回、大平台までを22分49秒で突っ込んだ服部選手。

その後はペースが落ち、最終的には73分01秒の区間7位に落ち着きましたが、コース半分辺りまでをスーパーエース級の速さで攻めた果敢な走りは見事でした。

今大会ではどれくらいのタイムが目標なのかはわかりませんが、無難なペース配分で走るよりは、前回のように突っ込んで走って欲しいですね。

コースの3/4くらいの距離までをハイペースで耐える事が出来れば、後は下りになりますから、もしかしたら前回よりも大幅に区間タイムを伸ばすかも知れません。

その下り部分が難しいのが5区ではありますが、下り部分の為に序盤、中盤までのペースを抑えるという常識的な走りは服部選手にはして欲しくないと思います。

5区や2区のような勝負区間は多少タイムをロスする事になっても気迫のある走りをした方がチームに勢いが付くケースもありますし。



・5区 国士舘大・住吉選手

住吉選手は5区を熱望しているそうですが、チーム事情で過去2回の箱根は2区と1区に出場。

今大会が最後の箱根ですし、今年はヴィンセント選手もいるので、序盤の区間は留学生に任せて、住吉選手は5区で良いのではないでしょうか。

住吉選手は今シーズンに1万mのタイムを28分32秒まで伸ばし、純粋に走力だけでも5区ならば71分台前半が狙えそうです。

5区を熱望するという事は上りの適性もあるでしょうし、この走力に適性が加われば、爆走する可能性もあるかも知れません。

私は以前から、優勝を狙うレベルのチームばかりではなく、シード権を狙うレベルのチームに山の神がいると大会が面白くなるのではと感じていました。

もしも住吉選手が5区に出るならば、服部選手と共に思いっきりシード争いを掻き回して欲しいと思います。



・6区 中央学大・樋口選手

1年時に58分47秒、2年時に59分49秒、3年時に59分47秒を出している樋口選手は今年も60分を切ればついに4年連続60分切りです。

達成者は過去に2人だけ。現在の距離に直すと1人だけです。

青学大と中央学大の戦力の差を考えると、青学大・小野田選手が先に6区を終えるのはまず確実でしょうから、樋口選手には史上4人目の4年連続60分切りの期待がかかります。


また、61分37秒切りが出来れば4回平均の60分切り、57分37秒切りが出来れば4回平均の59分切りになります。

過去の達成者は4回平均60分切りが5人、4回平均59分切りは現在の距離に直すと1人もいません。

しかし今大会で小野田選手がどちらも先に達成してしまうのはほぼ確実でしょうけど。

今大会の樋口選手に57分36秒を期待するのは流石に難しいと思いますが、61分36秒ならば前回の区間19位相当の記録です。

このレベルの走りでも4回平均60分切りを達成出来るのだから、小野田選手ほどではなくても樋口選手が積み上げた過去3大会の実績はかなりの物です。



1年生の時に58分47秒を出した時には、58分31秒を記録した同学年の小野田選手とは、今後は6区史上最高レベルのライバル対決が続くだろうと予感したのですが、その後もハイレベルな走りを連発して58分切りにまで迫っている小野田選手に対して、樋口選手は59分台後半で落ち着いてしまっています。

4年連続60分切りを達成しても1年時のタイムがベスト記録ではちょっと寂しいものがあります。

何とかベストを更新して卒業して欲しいですね。



・6区 法大・佐藤選手

過去2大会で59分切りを連発している法大の3年生・佐藤選手は、今年も6区に出場して59分を切れば史上2人目の59分切り3回の達成者になります。

小野田選手が史上初の1年生59分切りを達成した1年後に、1年生59分切りを達成した佐藤選手。

小野田選手が史上初の59分切り3回を達成した1年後に、また同じ偉業に挑むことになるのでしょうか。

しかし、佐藤選手は平地での実績もあり、法大のエース的存在になってきています。

今大会の出場区間は6区ではないかも知れません。



・6区 東海大・中島選手

前々回には1年生で59分56秒、前回は58分36秒まで記録を伸ばした東海大の3年生・中島選手。

今年は5000mやハーフのベストタイムを伸ばしています。

小野田選手に対抗できる唯一の存在かも知れません。

前回の実績と、平地での走力の伸びを考えると、58分前後が出ても不思議ではありません。

東海大は青学大と共に優勝を争う一角ですから、往路を終えた時の位置、小野田選手との距離がどれくらいなのかが、中島選手の区間タイムに大きく影響しそうな気がします。





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