2018年大会 2区について



・ 神奈川大・鈴木健吾選手

2000年代中頃〜2010年代中頃、箱根駅伝の主役といえば5区を走る選手でした。山の神と呼ばれる存在が台頭してきたからです。

しかし私は前回の2区区間賞獲得選手こそ箱根駅伝の真の主役だと思っています。

5区の距離が短縮されてから最初の大会に当たる前回の箱根は、前々回の2区区間賞選手が既に卒業していたため不在でしたが、今大会は前回の2区でハイレベルなタイム67分17秒を叩き出して区間賞を獲得した神奈川大・鈴木健吾選手がいます。

ついに2区区間賞選手が優勝候補チームのエースという最高の形で箱根駅伝の主役に返り咲きます。



今大会の主役には、大会史上日本人4人目の67分切り、そして順大・三代選手の残した66分46秒の更新も期待されます。

66分台を出す為の理想的なペースについて調べてみました。



過去に日本人で67分切りを達成した選手は3人。

三代選手、東海大・村澤選手、そして伝説のランナー早大・渡辺選手が2回達成しているので記録の数では4例あります。

日テレの記録速報で定点タイムが公開され始めた97年大会以降(なぜか97年大会はバックナンバーから消されているけど)なので、それ以降に達成された2例のペースをまずは記載します。

ちなみに5kmや10kmといったポイントはコースの再計測が行われると位置が変わってしまうため、あまり参考にはなりません。



99年 三代選手
横浜駅前 23分21秒
権太坂 44分03秒 (横浜駅前から20分42秒)
戸塚中継所 66分46秒 (権太坂から22分43秒)

11年 村澤選手
横浜駅前 23分06秒
権太坂 43分44秒 (横浜駅前から20分38秒)
戸塚中継所 66分52秒 (権太坂から23分08秒)



記録速報が公開され始める以前では95年、96年に67分切りを連発した渡辺選手がいます。

96年大会についてはテレビ放送の録画を確認すると以下の通りに伝えられていました。



96年 渡辺選手
横浜駅前 23分02秒
権太坂 43分39秒 (横浜駅前から20分37秒)
戸塚中継所 66分54秒 (権太坂から23分15秒)



95年大会の録画はありませんが、98年大会の放送中に95年の渡辺選手の横浜駅前の通過タイムが23分01秒であると伝えられています。

権太坂は不明です。

しかし96年大会の放送中に15kmの通過は前年が43分09秒、96年が43分12秒である事が伝えられています。

15kmと権太坂は位置が近いので、そこからタイムを推測すると43分36秒辺りと思われます。

推測タイムが含まってしまいますが、渡辺選手が前人未到の67分切りを達成した時のペースは以下のタイムが近いかと思います。



95年 渡辺選手
横浜駅前 23分01秒
権太坂 43分36秒(推測) (横浜駅前から20分35秒)(推測)
戸塚中継所 66分48秒 (権太坂から23分12秒)(推測)



以上の4例に次ぐ記録としては、2016年大会で67分切りに5秒まで迫った東洋大・服部勇馬選手がいます。

服部選手の出した記録67分04秒は日本人歴代4位で、16年大会終了時点の歴代5位には22秒差がついていました。

服部選手は他の選手側よりは67分切りランナー側に近い力があると思いますので、その時のペースを記載します。



16年 服部選手
横浜駅前 23分16秒
権太坂 43分46秒 (横浜駅前から20分30秒)
戸塚中継所 67分04秒 (権太坂から23分18秒)



67分切り4例+服部選手の5例の平均値です。(推測タイムが含まってしまいますが)
横浜駅前 23分09秒20
権太坂 43分45秒60 (横浜駅前から20分36秒40)
戸塚中継所 66分52秒80 (権太坂から23分07秒20)



村澤選手とほぼ同じ区間タイムとペースとなり、67分と日本人最高記録の中間くらいになります。

渡辺選手と比較すると序盤が遅くて終盤が速く、三代選手と比べると序盤が速くて終盤が遅いです。

67分を切る理想的なペースは、この5例の平均値からちょっと落としたくらいではないでしょうか。

逆にちょっとペースを上げると日本人最高記録ペースになります。

2区の距離23.1km、横浜駅前8.2km、権太坂15.2km、それぞれの距離に当てはめてペースをアップダウンさせると以下のような感じになります。



67分ペース
横浜駅前 23分12秒
権太坂 43分50秒 (横浜駅前から20分38秒)
戸塚中継所 67分00秒 (権太坂から23分10秒)

日本人最高記録ペース
横浜駅前 23分07秒
権太坂 43分41秒 (横浜駅前から20分34秒)
戸塚中継所 66分46秒 (権太坂から23分05秒)



そして前回の鈴木選手のペースが以下です。
横浜駅前 23分40秒
権太坂 44分25秒 (横浜駅前から20分45秒)
戸塚中継所 67分17秒 (権太坂から22分52秒)



一目瞭然ですね。

鈴木選手が今大会で67分切りや日本人最高記録更新を達成出来るかどうかは、中盤までのペース、特に鶴見中継所から横浜駅前までの序盤のペースが鍵を握っていそうです。



前回の鈴木選手は権太坂〜戸塚中継所間を22分52秒で走っており、権太坂以降の伸びは凄まじかったです。

しかし、三代選手は更にその上を行く22分43秒です。

箱根駅伝史上最強のランナーと言われ、2区の区間記録保持者である山梨学大・モグス選手が66分04秒を出した時の権太坂〜戸塚中継所間が22分46秒ですから、三代選手は終盤だけならばあのモグス選手よりも上です。

鈴木選手もかなり後半が強いとは思いますが、権太坂以降を三代選手よりも速く走るのは流石に難しいのではないでしょうか。

権太坂通過時点で、ターゲットが日本人最高記録ならば44分03秒以上、67分切りならば44分17秒以上かかると達成はかなり厳しいかも知れません。



また、67分前後ランナー4人の中で、横浜駅前〜権太坂間を最も速く走ったのは服部選手の20分30秒ですから、ここを20分30秒を切るペースで走るのは、流石に2区のレジェンドクラスの選手たちにとってもオーバーペースのようです。

そう考えると、上記の権太坂のタイムから20分30秒を引いて、ターゲットが日本人最高記録ならば23分33秒未満、67分切りならば23分47秒未満が、それぞれを狙う上での横浜駅前通過タイムの限界となりそうです。



やはり中盤、終盤の伸びだけで日本人最高記録や67分切りを狙うのはかなり難しそうです。

序盤からガンガン攻めて、決して攻撃の手を緩めないこと、横浜駅前を23分10秒前後で通過することが、やはり大事ではないでしょうか。

前回のように、横浜駅前を23分40秒辺りでの通過となると、67分切りを狙うならば、その後の横浜駅前〜権太坂間と、権太坂〜戸塚中継所間を、過去の例で言うところの「日本人の限界レベルのタイム」で走らないと達成出来なくなってしまいます。

そして日本人最高記録がターゲットとなると、そのペースで走っても達成は出来ません。



幸いにも、鈴木選手は今シーズンの全日本8区を走った時には、序盤から攻めの走りを見せて、逆転優勝の快走を見せてくれました。

前回よりも速い入りになる可能性は高いと思いますが。




最後に、鶴見中継所から横浜駅前までを渡辺選手と同じ23分01秒、横浜駅前から権太坂までを服部選手と同じ20分30秒、権太坂から戸塚中継所までを三代選手と同じ22分43秒で走ると、66分14秒という2区の日本人ドリーム記録になります。

今大会の鈴木選手に期待をするのは流石に難しいと思いますが、いつか見てみたいですね。

1万mで27分30秒くらいの力があれば、不可能ではないと思います。

現在の1万mの日本人学生記録が27分38秒ですから、それほど遠くない未来にはこのペースに挑める選手が出てくるかも知れません。





・ 順大・塩尻選手

1年生の時から駅伝でしっかりと走力を発揮できる「強いランナー」という印象の順大のエース塩尻選手。

しかし、1万mのベストタイムは長い間28分30秒台で足踏み状態。

28分30秒台といえばレベルの高い記録ではあるものの、スーパーエースと呼ぶには少し物足りない走力です。

駅伝ではしっかりと快走を連発する塩尻選手。

速いけど強くないという選手は多いが、塩尻選手は強いけど(スーパーエース級と比べると)速くない、という珍しい選手でした。

塩尻選手は11月に1万m27分47秒を記録し、自己ベストを大幅に更新しました。



今回の箱根では2区への出場が確実視されている塩尻選手。

27分47秒という走力は日本人学生歴代4位であり、そしてこの走力で2区に出場すると、2区史上最高の走力の日本人選手という事になります。

塩尻選手よりも上位の選手をあげると、27分38秒の早大・大迫選手は2区に出場経験なし。

27分44秒という明大・鎧坂選手の記録は、箱根2区で快走を見せた後に出された記録で、27分台のタイムを出した後の箱根は10区に出場。

27分45秒の早大・竹澤選手は2区区間賞を取った経験がありますが、27分台を出したのはやはりその後です。竹澤選手は27分台ランナーと成った後は、箱根には2年連続で3区に出場しています。



体調等の問題もありますが、エースがエース区間を避けるケースが多いのは最近の駅伝で残念なポイントです。

今回塩尻選手の持つ27分47秒という走力が2区のコースで炸裂するとどんな区間タイムになるのか、楽しみです。

前回、前々回は28分32秒の走力で68分06秒&68分30秒を記録している塩尻選手ですから、単純に計算すると66分台中盤が出てもおかしくはありません。

駅伝のタイムはそんな簡単に予想できるものではないのはわかっているけど、常に力をきっちりと発揮する「強いランナー」塩尻選手にはどうしても期待してしまいます。

ここで結果を残して、強さと速さを兼ね揃えたランナーへと成長して欲しいと思います。



鈴木選手の項目に書いた67分ペースや日本人最高ペースは、塩尻選手のペースを見る時にも参考になりそうです。

塩尻選手は前回68分06秒を出した時の横浜駅前通過タイムが23分18秒ですから、28分32秒の走力の選手としては速すぎる通過だと思います。

現在の走力で序盤からぶっ飛ばしたら、横浜駅前を22分台で行ってしまい、流石に後半がきつくなってタイムが伸びない、という展開になりそうな気がします。

鈴木選手とは逆に、塩尻選手は横浜駅前までをしっかり抑える事が大事になるかも知れません。

2人が並んで横浜駅前を23分10秒位で通過、なんて展開だと夢が膨らむのですが。

神奈川大の1区候補が強力なので、順大が準エースを1区に投入しない限りはそういう展開を期待するのは難しそうですが。



それと地味な記録ですが、塩尻選手は今年69分を切ると、3年連続69分切りとなります。

これもかなり貴重な記録になります。





・ 山梨学大・ニャイロ選手

本来ならば毎年2区の主役になるはずの最強ランナーニャイロ選手ですが、過去2大会は区間賞を取る事が出来ず、主役に成りきれないでいます。

過去の全日本8区では56分台を2回も記録している事からも、箱根2区の66分台も当然狙えると思うのですが、箱根では力を出し切れない展開が続いていました。

今シーズンは全日本8区では初めて57分を切れませんでしたが、それでも鈴木選手を18秒上回りこの区間での3年連続区間賞を獲得。

箱根駅伝予選会では20kmで57分33秒を記録。全日本8区の距離19.7kmに換算すれば56分41秒ですから、全日本8区のベストタイム56分43秒とほぼ同じレベルです。

今シーズンもやはりニャイロ選手は速い。3度目の箱根でその走力をしっかりと出し切って欲しいです。

鈴木選手と塩尻選手も合わせて、66分台を狙える選手が3人(もしかしたら4人?)もいるのだから、今大会は歴史に残るハイレベルな2区になりそうです。





・ 東海大・阪口選手

一体この選手は何者なんだろうか・・・

突然現れた東海大のスーパーエース(?)

2年生の阪口選手は、前回の箱根は出場出来ず、今シーズンは全日本にも出場出来ず、1万mのベストタイムは30分台、ハーフマラソンの持ちタイムなし、20kmの持ちタイムなし。

5000mでは大学トップクラスの実力を持ち、出雲駅伝でも区間賞を取るなど実績はありますが、距離の短さから箱根駅伝につながる実績とは思っていませんでした。

しかしオランダで行われた15kmロードレースを43分36秒で走ったとか。

15kmの距離に馴染みのない私は、それが良い記録なのか判断が出来ませんでした。

1km平均で3分を切ってるから結構速いのかな、くらいに思っていたのですが、この考え方で10kmのタイムに変換し、さらにコースの高低差を考えると、とんでもない記録だという事がわかりました。



10km29分00秒(1km平均2分54秒00)と20km60分00秒(1km平均3分00秒00)を同価値として、距離が2倍になると1km平均ペースが6秒落ちる法則を利用すると、1kmの平均ペースが2分57秒51の時に距離は15.00038989kmになります。

ほぼ15kmなのでこのペースを近似値として採用し、×15をしてみると、44分22秒65です。

近似値を使った計算で小数までこだわる必要はないので、15km約44分23秒が10km29分00秒や20km60分00秒とほぼ同価値になります。

15kmが43分36秒という事は、10kmで言えば約28分28秒に相当します。

これはあくまでも平地の15kmを想定しています。



阪口選手が走ったオランダのセブンヒルズというレースは、7つの坂があるからそう名付けられたレースだそうで、オフィシャルのHPに載っていた高低図を調べてみました。

スタート地点が標高38m、細かいアップダウンを繰り返し、3km過ぎで標高57mに上がり、少し下ってから約40mも上って5km過ぎの標高94mへ。

その後下りながらも細かいアップダウンを繰り返し、7km過ぎからたった300m程の間に約15mも上って標高93mに。

少し下り、また約15m上って最高点102m。この時に上る15mは100mちょっとくらいの距離で上るようです。

約20m程度下って、7〜8m程度の上りがあり、標高は92m。

少し下って10km地点は標高は約70m程、ここから1kmちょっとの距離で標高97mまで最後の大きな上りがあります。

その後は下りが多いですが、細かいアップダウンがあり、標高57mの最後の小さな上りの後にゴールへと下ります。

ゴール地点は38mで、スタート地点と同じ標高でした。

ゴール地点前も微妙に上り坂で、平らな場所なんて全くないように見えます。



一言で言って、おぞましいコースです。

高低差がタイムにどれだけの影響を与えるのかはわかりませんが、距離はともかく、コースのハードさは箱根2区なんて比べ物にならないでしょうから、どんなに少なく見積もっても30秒、もしかしたら1分以上はロスするのではないでしょうか。

仮に1分ロスするとしたら阪口選手は平地の15kmは42分36秒で走れる事になります。

これは10kmならば約27分48秒に相当します。



阪口選手が今大会で何区を走るのかはわかりませんが、もしも2区ならば、箱根出場経験、全日本出場経験、20kmの記録、ハーフの記録、以上すべてなしで、1万mのタイムは30分台の選手が、いきなり2区で67分切りなんて事もあり得るのではないでしょうか。

そしてもしも5区を走るのならば、4代目山の神になるのは確実ではないでしょうか。

今大会、とんでもない才能がデビューするのかも知れません。





・ 駒大・工藤選手

過去2大会、2区で68分一桁の記録を出している駒大のエース工藤選手。

当然今大会は67分台の期待がかかりますが、もうひとつ注目したいポイントは塩尻選手の項目にも書いた「69分切り3回」です。

一見地味な記録であり、前回では青学大・一色選手が3年連続68分切りの偉業を達成してしまったので尚更地味ですが、これも難しい記録です。



69分を3回切る、簡単そうに見えてそれを達成している日本人選手は過去には5人しかいません。

その5人の名前をあげると、

90年代の早大・渡辺選手(66分48秒、66分54秒、68分48秒)

00年代の東海大・伊達選手(67分50秒、67分59秒、68分04秒)

10年代に入って3人増えて、

東海大・村澤選手(66分52秒、68分08秒、68分14秒)

東洋大・服部勇馬選手(67分04秒、67分32秒、68分43秒)

青学大・一色選手(67分35秒、67分45秒、67分56秒)

となっており、各時代の大学長距離界の大エースのような選手ばかりです。



1年生で68分09秒を記録した東洋大・設楽啓太選手や、2年生で67分50秒を記録した青学大・出岐選手と早大・平賀選手、2年生で68分18秒のタイムで区間賞を取った早大・高田選手といった、1、2年生のうちに2区で大活躍した選手でも、気象条件やチーム事情などの問題もありますが、結局は達出来てはいない記録です。



工藤選手は今シーズンの全日本2区の区間タイムが38分41秒。同区間のベストタイム37分52秒と比べてもかなり劣ります。

中盤以降の区間が追い風気味だった今年の全日本ですが、レース序盤の区間は風向きの関係上恩恵はあまりなかったかと思います。

気象条件の違いもありますが、ベストタイムより50秒弱も遅く、このタイムに全日本2区箱根2区の平均タイム比率(後述)をかけると、69分18秒になります。

3回目の69分切りには黄色信号が灯っています。



今シーズンの駒大には、ハーフマラソン学生世界一の片西選手や、全日本8区を59分20秒で走った山下選手がいるので、本調子でないのならば工藤選手が無理して2区を走る必要はないと思いますが、工藤選手は1年生の時から箱根で結果を出しチームを支え続けた、紛れもない駒大のエース。

現在大学日本人選手ナンバーワンと言われている神奈川大・鈴木選手ですら1年時は箱根で好成績を残す事は出来ていません。

工藤選手ほど長く、高いレベルで安定し、チームを支え続けた選手は現在の4年生では青学大・田村選手くらいではないでしょうか。

その田村選手も前回の箱根ではやや失敗気味でしたし、なにより2区を走った経験がありません。

工藤選手は現在の大学長距離界で最もエースらしいエースだと思います。

やはりエースにはエース区間で意地を見せて欲しい。

現在の調子で67分台はちょっと厳しいかも知れませんが、なんとか68分59秒以内で走って欲しいと思います。





・ 統計学による予測

結論から言うと、
大失敗でした。

以前から、全日本の8区や2区と箱根の2区の平均タイムの比率を使って、全日本の区間タイムから箱根2区の区間タイムを予想する事はやっていました。

しかしこれが、それらしい予想になる事もあれば、どう考えてもありえないタイムが予想される時もある。

特に全日本8区のタイムが55分台〜56分台になると箱根2区の予想タイムが飛躍的に良くなってしまうのです。

そこでやり方を変えて、統計を使って箱根2区の区間タイムを予測出来ないか?と考えたのはもうかなり前のこと。2015年大会の感想で書いていましたね。

専門学校時代にかじった統計学を使ってみようと思ったのですが、計算が面倒そうなので棚上げし続けて、今年やっと導入することを決めました。

しかし実際にやってみると、これが大失敗でした。



すっかり忘れていたけど、統計による予測は因果関係がないと出来ませんでした。

全日本と箱根の区間タイムに「相関関係」はあると思う。

しかし「因果関係」、つまり原因と結果。

全日本8区で良いタイムを出した事を原因として、箱根2区で良いタイムを出せるという結果には繋がらないかと。別の駅伝大会ですから。



統計を使っての予測は無理でも、相関関係さえあれば、平均タイムの比率でやるよりはまだましな予想が出来るかと思い計算をしてみたのですが・・・



X=全日本8区 Y=箱根2区 X偏差 Y偏差 偏差積 X偏差2乗 Y偏差2乗
01
オツオリ
3588 4120 78.325581 17.511628 1371.608437 6134.896639 306.6571152
02
オツオリ
3556 4151 46.325581 48.511628 2247.329352 2146.059455 2353.378051
03
マヤカ
3468 4106 -41.674419 3.511628 -146.3450566 1736.757199 12.33153121
04
花田
3487 4094 -22.674419 -8.488372 192.4689034 514.129277 72.05245921
05
渡辺
3439 4008 -70.674419 -94.488372 6677.910793 4994.873501 8928.052443
06
松田
3563 4127 53.325581 24.511628 1307.096804 2843.617589 600.8199072
07
渡辺
3419 4014 -90.674419 -88.488372 8023.631719 8221.850261 7830.191979
08
マヤカ
3452 4166 -57.674419 63.511628 -3662.996245 3326.338607 4033.726891
09
松田
3523 4109 13.325581 6.511628 86.77122636 177.571109 42.40129921
10
三代
3578 4098 68.325581 -4.488372 -306.6706246 4668.385019 20.14548321
11
小松
3583 4197 73.325581 94.511628 6930.120034 5376.640829 8932.447827
12
藤田
3584 4092 74.325581 -10.488372 -779.5543426 5524.291991 110.0059472
13
三代
3582 4006 72.325581 -96.488372 -6978.577565 5230.989667 9310.005931
14
神屋
3556 4131 46.325581 28.511628 1320.817732 2146.059455 812.9129312
15
秋山
3534 4142 24.325581 39.511628 961.1433074 591.733891 1561.168747
16
原田
3547 4154 37.325581 51.511628 1922.701443 1393.198997 2653.447819
17
モカンバ
3465 4082 -44.674419 -20.488372 915.3061154 1995.803713 419.7733872
18
松下
3493 4078 -16.674419 -24.488372 408.3293754 278.036249 599.6803632
19
モカンバ
3496 4152 -13.674419 49.511628 -677.0427466 186.989735 2451.401307
20
モカンバ
3548 4067 38.325581 -35.488372 -1360.112476 1468.850159 1259.424547
21
モグス
3430 4049 -79.674419 -53.488372 4261.654962 6348.013043 2861.005939
22
池永
3594 4146 84.325581 43.511628 3669.143311 7110.803611 1893.261771
23
モグス
3391 4133 -118.674419 30.511628 -3620.949726 14083.61772 930.9594432
24
保科
3590 4104 80.325581 1.511628 121.4223974 6452.198963 2.28501921
25
モグス
3332 3983 -177.674419 -119.488372 21230.02707 31568.19917 14277.47104
26
北村
3535 4165 25.325581 62.511628 1583.143298 641.385053 3907.703635
27
佐々木
3549 4181 39.325581 78.511628 3087.515386 1546.501321 6164.075731
28
伊達
3563 4070 53.325581 -32.488372 -1732.461313 2843.617589 1055.494315
29
尾崎
3581 4176 71.325581 73.511628 5243.259577 5087.338505 5403.959451
30
ダニエル
3414 4057 -95.674419 -45.488372 4352.073562 9153.594451 2069.191987
31
ベンジャミン
3402 4029 -107.674419 -73.488372 7912.817758 11593.78051 5400.540819
32
村澤
3467 4012 -42.674419 -90.488372 3861.538701 1821.106037 8188.145467
33
平賀
3504 4070 -5.674419 -32.488372 184.3526354 32.19903099 1055.494315
34
高瀬
3540 4151 30.325581 48.511628 1471.143304 919.640863 2353.378051
35
村澤
3550 4094 40.325581 -8.488372 -342.2985326 1626.152483 72.05245921
36
平賀
3592 4127 82.325581 24.511628 2017.934016 6777.501287 600.8199072
37
大六野
3515 4155 5.325581 52.511628 279.6549284 28.36181299 2757.471075
38
大六野
3486 4076 -23.674419 -26.488372 627.0968174 560.478115 701.6338512
39
ニャイロ
3415 4040 -94.674419 -62.488372 5916.050313 8963.245613 3904.796635
40
大森
3580 4163 70.325581 60.511628 4255.515396 4945.687343 3661.657123
41
ニャイロ
3403 4111 -106.674419 8.511628 -907.9729716 11379.43167 72.44781121
42
一色
3468 4076 -41.674419 -26.488372 1103.887513 1736.757199 701.6338512
43
山本
3554 4145 44.325581 42.511628 1884.35261 1964.757131 1807.238515
平均 3509.674419 4102.488372 1974.717144 4561.42888 2840.761493
標準偏差 67.5383511792 53.2987944798 相関係数 0.5485763196
傾き
0.4329163506 b
Y切片
2583.0929308984


1990年〜1991年シーズン以降、全日本8区と箱根2区を同一シーズン内に60分切り70分切りをしている選手をピックアップして計算しました。

箱根駅伝で強風が吹いた2012年〜2013年シーズンは除外してあります。

区間タイムは秒に直してあります。



偏差=個々の数値-平均

標準偏差=√偏差2乗の平均

相関係数=偏差積の平均÷Xの標準偏差÷Yの標準偏差



全日本と箱根のタイムに相関関係はあると思っていたのですが、相関係数は0.54程度。

1.0が完全な相関関係を表しており、全日本8区で良いタイムを出す選手は箱根2区でも良いタイムを出す傾向にあると思うので、多分0.8か0.9くらいはあると予想していましたが、意外にも相関関係すら強くはありませんでした。

60分切り70分切りというある程度好走した選手のみを対象にしてこれですから、この2区間の区間タイムの相関関係はあまり強くないと考えるべきかと。



計算を続けると、以下のようになってしまいます。

a 傾き=相関係数×(Yの標準偏差÷Xの標準偏差)

b Y切片=Yの平均-(a×Xの平均)

公式 Y=aX+b

箱根タイム=0.4329163506×全日本タイム+2583.0929308984



全日本8区タイム60分00秒(3600秒)を代入すると69分01秒、56分00秒(3360秒)を代入すると67分17秒になります。

相関係数が低いので明らかにおかしいタイムが出てしまいました。

これならば平均タイムの比率で予想した方がまだましだと思います。

比率は1.16891。

60分ならば70分08秒、58分ならば67分47秒、56分ならば65分27秒。全日本のタイムが良くなると予想タイムがおかしくなってきますが。



全日本2区→箱根2区については、メインの8区の計算で統計が使えない事がわかってしまったので行いませんでした。

平均タイム比率だけは調べていて、1.79177でした。

向かい風が吹いた2012年〜2013年シーズン、以前は含めていた2000年〜2001年シーズンも除外してあります。

全日本が39分ならば69分52秒、38分ならば68分05秒、37分ならば66分17秒になります。

8区と同じようにある程度好走(39分切り70分切り)した選手のみを対象としています。



8区と比べれば2区の方がそれらしい数字が出てきます。

しかし2区は今シーズンを最後にコースが変わる事が確定しています。

8区はこれからも同じコースで続けるそうですが、平均タイム比率でやる予想はいまいちです。

統計による予測は3年近く前から考えていた事なので、それが使えなかったのは残念でした・・・

駅伝のタイム予想は難しいです。





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